No Wayout - 2


「つかさちゃん、胸、意外にあるんだね」
「そ、そうでもないです」
 志貴にそうささやかれ、つかさは恥らった。だがとても恥らっていられるような体勢ではなかった。二人とも素っ裸で、しかも向かい合ったまま、繋がっていた。志貴は黒板を背にして教壇に座り込み、つかさはその上に跨っていた。最初の交わりの後、暗黙の了解でお互いに裸になってから、志貴がここに、と誘ってきたのだ。志貴の、あれだけ放ったのに、まだたくましい剛直を見せているそこに。いくら、もう処女を捧げた相手とはいえ、そんなあからさまな体位には抵抗があった。が、志貴と再び繋がるという誘惑には勝てず、自ら腰を落とし、志貴の剛直を迎え入れていた。
 志貴は、つかさと繋がったまま動かないで、つかさの体をじっくりと撫で回している。つかさは、志貴と繋がっている部分からは、軽い痛みと、強い異物感を感じていた。だがじわじわとした、得体の知れない感覚もある。それは確かに、快感にかなり近かった。
「やっぱり華奢なんだなあ。女の子の体なんだなあ」
 志貴の手が、つかさの両胸にかかった。さっき、意外に胸があるとは言われたが、つかさ自身はお世辞にもそういえないと思っていた。その点、天敵の秋葉と似たようなものだった。それでも、お世辞だと分かっていても、志貴にそういわれるのは嬉しい。自分のオンナの部分を全てさらけ出して、志貴に褒められるのは嬉しい。
 志貴は、慣れた様子で、つかさの胸のつぼみを愛撫し始めた。つかさの興奮を反映して、つぼみは既に固くなっていた。飛び出した乳首を、志貴は指できゅっとつまんだ。
「んっ」
 つかさの顔が険しくなる。もちろん痛いからではない。思わず声をあげてしまうくらいの快感。自慰の経験すらなかったつかさには、まるで未知の感覚だった。今、志貴と繋がっている部分よりも、ずっと強い快感が走った。志貴と繋がっている部分には、志貴に貫かれているという、征服されているという、心に響くような官能があった。しかし、志貴に胸を揉まれて感じるのは、神経に触れるような、もっと直接的な快楽だった。
 志貴の手がつかさのわきの下に入れられ、抱き上げられる。志貴の唇が、つかさの乳首に吸い付いた。
「んっ、んーっ」
 つかさは、喉の奥で声を上げた。志貴の舌が右の乳首を、次に左の乳首を、そしてまた右をと責める。その度に、つかさの官能の炎は燃え上がる。志貴の精を受けて、一度鎮まりかけた官能の火が燃え盛る。つかさのオンナが、更に潤ってゆく。滴り始める。志貴はつかさの腰に手を添えると、自分の腰へと落とした。つかさのオンナが、再び深く深く貫かれる。志貴は、つかさの腰を支えたまま、ゆっくりと律動を始めた。つかさは、中からかき回され始めた。
 はぁ、と熱い息を吐き、頬を上気させながら、つかさは視線を落とした。すぐ目の前には志貴のほっそりした、それでもたくましさを感じさせる体がある。さらに目を落とすと自分が足を大きく開き、中心のオンナも大きく開いて、志貴のオトコをくわえ込んでいるのが見える。かすかな明かりに慣れたからか、自分のサーモンピンクの果肉、そしてそこに走る襞も見えた。こんなものを異性にさらしているなんて、今、この瞬間にも信じられない。そしてその中心を、志貴のたくましいオトコが貫いていた。志貴のそれも、そしてつかさの器官も、さらには内股までが、まるでバターを塗ったようにとろりと濡れて、光っている。二人が揺れ動くたび、まるで蜜壷をかき回すような、いやらしい音がした。
 もう一度顔を上げると、つかさを突き上げながら、優しく見ている志貴の目が、眼鏡越しにうかがえた。そう、眼鏡――
「志貴さん、眼鏡、外さないんですか」
 官能の波に揺れながら、つかさはそう訊ねた。眼鏡をしているから、さっきからキスしてくれないのかなと思ったのだ。そう、つかさは、まだ志貴に唇への口づけをもらってない。
「ん、いや、これを外すと、つかさちゃんの顔が良く見えないから……。もちろん、つかさちゃんのあそこもね」
 あからさまな志貴の言葉に、つかさはよけいにオンナが潤うのを感じた。私で感じていてくれるんだ――そう思うと、女に生まれてよかったと、生まれて初めて思った。
「つかさちゃん――」
 志貴は熱い吐息をつくと、律動を徐々に早めていった。こつん、こつんと、つかさのオンナの一番奥、今までそれが活用される可能性など考えたこともなかった器官が、志貴のオトコに突き上げられ、刺激される。その度に、つかさの味わったことのない感覚が広がって行く。自己主張することが皆無だったつかさの子宮が、志貴の精を求めてキュッとすぼまり、また緩んで行く。つかさは声を上げながら、志貴にすがりついた。そのつかさを、志貴は大きく揺さぶるようにして、繰り返し繰り返し貫いた。その律動が、つかさのすべてを支配する。つかさのオンナを、志貴のオトコが貫き、引き抜かれる。その志貴を鋳型に、つかさは自分のオンナの形をはっきり意識した。今まで、周期的に憂鬱な時間を作り出す能しかないものと思っていたそれらが、今はつかさに生まれてはじめての歓喜をもたらしている。
「志貴――さん」
 志貴にすがりついたまま、つかさは声を上げた。
「好き――大好きです」
「つかさちゃん――」
 志貴の右手が、二人のつながっている部分に伸びた。柔らかい茂みをかき分けて、今はルビーのように膨らんでいる肉の芽を、志貴の指が優しくさらけ出す。つかさの蜜でとろけたそこを、志貴は優しく捏ね、そしてつぶした。
「んっ――んくっ――」
 つかさの体が若鮎のように跳ねて、志貴の剛直を中心に上下した。自分の器官がキュッと締まり、志貴のオトコを恥ずかしいくらい締め上げているのが分かる。
「ん、きついね」
 志貴は嬉しそうだった。私でこんなに、こんなに感じてくれる――つかさは嬉しくて、涙が溢れてくるのを感じた。
 つかさのオンナは、もうとろとろに蕩けきって、自分では形すら分からないくらいだった。そのオンナを、志貴のたくましいオトコが蹂躙している。支配している。それが嬉しかった。自分の全てを、志貴に食べ尽くして欲しいと願った。
「つかさちゃん、行く、よ――」
 志貴も苦しそうだった。つかさはこくんとうなずくと、志貴とタイミングを合わせて、まっすぐに腰をストロークさせた。志貴のオトコの先端から根元まで、つかさは自分のオンナが何度もこすりあげられ、快楽を搾り出されるのを感じた。声をあげて、志貴にすがり付いていた。
「くっ」
 志貴が声をあげたとき、つかさの中に熱いものが注ぎ込まれてきた。雌芯を貫いている剛直がとろけ、つかさのオンナと、子宮と混ざり合ってゆく。何度も声をあげながら、志貴にすがりついた。膣に、子宮に、愛しい男の精が、再び打ち込まれてゆく。もう、体の力が入らなくなって、つかさは志貴に、その身を預けた。
 どく、どく――志貴のオトコの形はわからなくても、それが脈動しつつ、つかさの中に精を放っているのは分かる。何度も何度も、つかさを妊娠させるかもしれない、危険な液が放たれて行く。つかさはすすり泣きながら、志貴の胸にすがりついた。そして、ふっと静かな時間がやってきた。
 二人の熱い息だけが、辺りに聞こえている。志貴は、つかさの顔を仰向かせると、首筋にねっとりと唇を這わせた。それがつかさの体に、またもや火をつけ、燃え広がってゆく。まだ器官の奥に、愛しい男の熱い精を感じているのに、つかさのオンナは、再び身動ぎして、刺し貫いている剛直の周りを、ゆるゆると蠕動し始めたのだった。

「これでいいんですか――」
 つかさは不安そうだった。
「そう、それでいいんだ」
 つかさは四つん這いにされていた。教壇の周りには、二人が脱ぎ散らかした衣服が散乱しており――つかさはきちんと畳んでいたのだが――、教壇のあちこちには、二人の体液が転々と飛び散っていた。特に志貴が座り込んでいたところには、つかさのオンナから分泌された蜜が、まるで水溜りのように広がっている。そこを避けて、つかさは四つん這いになっていた。だがいくら避けても、辺りに漂う凄い淫臭は、とても頭の中から追い出せるものではない。
 これが、志貴さんと、私の匂いなんだ――そう思うと、つかさはまた潤い始めるのを感じる。まして、四つん這いになった後ろから、志貴に見られているのだとすれば。つかさのオンナは勝手に反応して、こんな恥ずかしい状況でも滴らせ始めている。もっとも、滴っているものの多くは、今や志貴が放ったものではあるけれど。四つん這いになったつかさの器官から、つかさと志貴の体液が、ひっきりなしに滴り落ちていた。内股を滴り落ちてゆくものの正体を思うと、そしてつかさのヒップを眺めているだろう志貴の視線を意識すると、つかさは全身が震えるほどの羞恥に包まれた。既に二度も、その男と交わっているにも関わらず。
 つかさが背中越しに志貴を振り返ると、志貴は剛直を揺らしながら、つかさのヒップに手を這わそうとしているところだった。
「大丈夫だよ」
 志貴はやさしくいった。もう何度も、つかさを安心させてくれた声。つかさは安堵しながら、顔を前へと向けた。
 志貴の手が、つかさのヒップを優しくつかんだ。自分でも女らしくない、ボリュームに欠けると思っている部分。しかし志貴の手は、優しく、何度も撫で回してくれた。
「つかさちゃんって、お尻もきれいだね」
 そういってくれた。お世辞でないことは、つかさにも分かった。志貴は欲情している。そそり立つ剛直が、なによりも雄弁に物語っていた。志貴は、熱い吐息をつきながら、視線を下げて、つかさのヒップを、見つめているようだ。その視線が窄まりに、緩く花開いているオンナに、そして卑猥な液体が滴り落ちている内股へと向けられるのが分かる。抑えがたい羞恥心に、つかさは自分の器官がキュッと窄まるのを感じた。
「あの志貴さん、拭かなくていいんでしょうか」
 自分から滴り落ちる液体の量に心配になって、つかさは志貴にそうたずねた。本当に、志貴はなんて量を出したんだろう。いまだにつかさの器官には熱くうごめく塊があって、つかさの内股へと滴り落ちているのだ。妊娠よりも、まずは教壇を汚すことの方が心配だった。
「大丈夫だよ――」
 志貴はくすくす笑った。
「すぐに蓋をしてあげるから」
 その通り、志貴が腰を突き出し、そしてつかさのオンナに三度剛直が差し込まれてきた。
「もう少し伏せてね」
 志貴はつかさの上半身をもう少し下げさせると、そのまま奥まで貫いてきた。
「ん――くふぅん――」
 つかさは甘えた仔犬のように鳴いて、志貴の剛直を目一杯に受け入れた。三度、志貴とつながっている。つかさの真中に志貴が居て、志貴の律動がつかさのオンナをとろけさせる。この状態が本当なんだとつかさは思った。こうして志貴に貫かれている自分が本当で、つかさのオンナの中に志貴が居ない日常は嘘なのだ。学校も勉強も友達も、実家も両親もなにもかもが偽物で、こうして志貴に貫かれている自分だけが本物なのだ。それくらい、今この瞬間の充実は、つかさにとって喜びだった。今までの、いやこれからの人生など、これのためなら躊躇無く投げ出してしまえるくらいに。
「んっ――んふっ――くぅん――」
 志貴が律動をはじめる。子宮の底を、志貴の愛しいオトコが叩く度、つかさのオンナは快楽を搾り出される。快感が器官全体からにじみ出てくる。せっかく蓋をしたというのに、つかさの内股を流れ落ちる液体は、ちっとも減ってなかった。その多くは、つかさの器官からあふれ出た、新鮮な蜜だった。
「すごい――すごいよ、つかさちゃん」
 つかさの反応のよさに、志貴は興奮しているようだ。両手で優しくつかさの胸を覆うと、蕾を指で挟みながら、全体を揉みしだく。
 はぁぁ――つかさは甘い声をあげて、無意識のうちにヒップに力を込めた。志貴の器官が強く締め上げられ、志貴は思わず声をあげた。
「ふふっ、やるね」
 志貴はつかさの蕾をじっくり攻めた。指の腹で摩擦し、キュッと挟み込むと、今度は乳首をぎゅっと引っ張った。
 つかさは、甘くとろけるような快楽に翻弄される。蜜の量がもっと増えた気がした。そのおかげで、つかさの狭い器官と、志貴のたくましい剛直との動きは、滑らかだった。ただ、リズミカルで卑猥な音だけは、どうしようもなかった。それがよけいに、つかさのオンナを潤してゆく。
 セックスは、十分ほども続いただろうか。志貴はつかさをまっすぐに、回すように、浅く、深く、やさしく、強く攻めたてる。つかさのオンナは蹂躙され、上り詰め、達し、また上りはじめる。つかさが無意識にヒップを振りながら達すると、志貴はつかさのヒップをやさしく抱え上げて、また深く、強く、打ち込んで来た。
 つかさは泣きじゃくりながら、愛しい志貴のオトコを迎え入れた。繰り返される行為に、つかさの器官は充血し、敏感になっている。志貴のオトコの良く張った雁首が、そのごつごつした棹が、つかさには手に取るように分かった。それがつかさのオンナの襞をかき分け、器官を貫き、そして子宮の底を叩くのを。
 志貴の動きが忙しくなってきた。律動のテンポが早まり、かつ技巧を感じさせないストレートな動きになっている。志貴はつかさをまっすぐなストロークで貫いた。つかさは熱い息を吐き、教壇に爪を立てた。身体から汗と涙と、そして猥褻な液体が飛び散り、神聖な教壇を汚して行く。
 クライマックスが来るのが分かった。志貴のオトコがグッと膨らむのが分かった。もうすぐ、熱い精を放つだろう。
「志貴さん――」
 つかさは、愛しい男の名を呼びながら、快感の余り身悶えして、背筋を大きくしならせた。
「つかさちゃん。くっ――」
 つかさの、初々しい器官の締め付けが、余計激しくなって、志貴は喉の奥で声を上げながら、ついに射精していた。
「ん――あ――くふん――」
 志貴のオトコが熱い体液を放つ度、つかさは子宮の底でそれを感じた。熱いものがつかさの器官に満ち、内臓へと、子宮へと流れ込んで来る。それが嬉しくて、愛しくて、つかさは泣きじゃくっていた。それがつかさの子宮に根付き、新しい命が生まれればいいなとさえ思った。
 気がつくと、志貴は荒い息をつきながら、まだつかさの中をゆっくりストロークしているところだった。つかさの情欲の残り火が、それで癒されて行く。同時に、新しい情欲の炎も燃え始めているのが分かる。
「素敵だよ、つかさちゃん」
 志貴は、まだつながったまま、つかさを器用に膝の上に抱え上げた。後ろから抱き抱えられたまま、なおかつ貫かれているという体勢になった。
「つかさちゃんの身体はこんなにきれいなのに、反応はすごくいいんだね」
 志貴は、つかさの身体をやさしく愛撫し始めている。もう、次のラウンドが始まっているんだと、鈍いつかさも気付かされた。疲れていたが、後一回くらい、志貴を喜ばせてやりたかった。
「だって、志貴さんのが凄く熱いし、私のが擦れて気持ちいいから――」
 志貴の問いには、恥じらいつつも、そう答えるしかなかった。
 志貴は、つかさを抱え上げたまま、ゆるゆるとピストン運動を始めていた。足全体をバネにして、ゆっくりとつかさの中で動き始めた。つかさの中で蕩けきっていた志貴のオトコが強張り、つかさの器官をゆるゆると刺激し始めた。また官能が募ってくる。つかさは熱い息を吐くと、志貴にその身を預けきってしまった。
 それにしても、なんて強いのだろう。つかさはこんなに疲れているのに、志貴はそんな疲労をかけらも見せない。それとも、男の人というのは、みんなこうなんだろうか――それすら分からないくらい、初なつかさだった。
「つかさちゃん、男と付き合ったこと、あるのかな」
 志貴は、こんな状況では相応しくないような、逆に相応しいような問いを口にした。
「いえ、私、んっ――中学校からずっと浅上だったから――あっ、うん――」
 官能に揉まれた胡乱な頭でつかさは答えていた。
「そうか。やっぱり俺が君の初めての男だったんだね。ごめんね、こんな冴えない奴で」
「そんな――私、志貴さんのこと大好きです。あ、愛してます。だから、あん――そんなこと――」
「ごめんね」
 志貴は、なぜかもう一度謝罪を口にすると、つかさの胸を、背後から愛撫し始めた。脂肪層に乏しい薄い胸だが、志貴はそんなことを気にしている様子もなく、どこか楽しそうに愛撫してくれる。志貴はつかさの胸を絞るようにして揉みしだくと、可憐で未発達な乳首を指ですり潰した。甘い快感がつかさの胸から雌芯へと走り、つかさの蜜がとろりと溢れる。こんな私を好きになってくれているんだ――つかさの胸も、オンナも、きゅんと締め付けられるような気がした。志貴になら、全てを捧げてもいいと思った。たとえ妊娠させられても構わないと。いや、それはむしろ、つかさの願うところだった。
「あっ、くっ、くふん――」
 志貴の指が、つかさの乳首を、きゅっとつまんだ。つかさのオンナが反応して、窄まると、志貴の剛直を締め上げた。その反応のよさが、志貴には嬉しいみたいだった。
「本当に、つかさちゃんって、反応がいいんだね。まるで秋葉みたいだ――」
 志貴も強い官能の波に揉まれているのだろう。どこか心ここにあらずという風で、思わずそうつぶやいた。えっ――こんな状況にも関わらず、つかさは思わず硬直した。秋葉の名が出たからというのもあったが、それよりも、志貴の口ぶりが、まるで秋葉とも同じ関係を結んでいるように聞こえたからだ。だって、遠野さんと志貴さんは兄妹なのに――
 つかさの思考は、しかし志貴の手によって遮られた。志貴の手がつかさのオンナに伸び、ルビーのように膨らんでいる初々しい肉の芽を、ゆっくりと押しつぶしたのだ。
「あふっ、ひんっ――」
 つかさは可憐な鳴き声を上げながら、志貴の膝の上で身をよじらせた。のけぞったつかさの頭を肩に載せると、志貴はその耳を優しく噛んだ。そこから走る、ぞくぞくとする戦慄。つかさのオンナから湧き上がってくる官能。そして肉の芽から吹き上げてくる強い快楽――つかさの頭は、あっと言う間に飽和してしまった。志貴の腕の中で、身をよじり、泣き叫び、乱れ、達した。何度も達した。全身を押し流すような官能の波が押し寄せ、過ぎる度、つかさはぐったりと志貴にもたれかかる。心臓が爆発しそうなくらい、早鐘を打っている。興奮だけではなく、疲労もあった。生まれて初めてオトコを迎え入れてから、まだそれほど時間が経ってない。その間、つかさは数え切れないくらい官能の頂点に達していた。閉鎖環境で育ってきた、純粋培養の高校一年生の少女には、あまりにも過酷な経験だった。
 志貴はつかさの肉の芽を押しつぶし、軽く挟み、こりっと捏ね回した。羽のように軽く、優しく、情熱的に。そして胸の膨らみを捏ね、つぼみを愛撫して、乳首を刺激した。体中から押し寄せてくる快感の嵐に、つかさはどうしようもなく、ただただ翻弄された。
 つかさは声を上げて、何度も身体を弓なりに反らし、志貴の上で踊った。志貴と一つになっている。志貴に抱かれている。極限の快楽は、もう苦痛なのかもしれない。でも、もうどうでもよかった。志貴に抱かれているのだから。
 気がつくと、つかさを貫いているオトコが、今しも爆発しそうになっている。それだけが分かった。つかさは身をよじり、苦痛から逃れようと、しかし逆に快楽を絞り出そうと、志貴の剛直の上で躍った。
「うーっ――」
 耳元で志貴が唸り、志貴のオトコが、つかさの子宮を何度も叩いた。志貴のオトコが膨れ上がり、そこから熱いほとばしりを感じたとき、つかさは全身を弛緩させながら、歓喜の声を上げていた。志貴の精をまた注ぎ込まれた喜びから、そしてそれ以上に、苦行に近い行為から解放される安堵から――

 我に返ると、つかさは教壇の上に仰向けにされていた。
「――」
 志貴の姿を探すと、すぐ側、つかさの足の先に、立ち上がっているのが見えた。あれほど放ったのに、志貴の器官はまるで衰えを知らぬ剛直を見せていた。その全体が、つかさの蜜で卑猥に濡れて光っている。
「ふぅ、つかさちゃんの反応がいいから、俺も思わず頑張っちゃったよ」
 志貴が照れくさそうに笑っているのが分かる。つかさは、疲れきった身体で、しかしくすりと笑いを漏らした。志貴の子供っぽい部分が、つかさには好ましかった。そして、この人をこれだけ感じさせてあげられたのだと思うと、改めて女としての喜びが湧き上がってきた。きっと、この先、人生に対する見方だって、変わってしまうだろう。両親がなんといおうと構わない。この人だけを大切にしてあげたいと思った。
「時間はあんまりないけど、もっと楽しもう、つかさちゃん」
 志貴がそういいながら、つかさの両足に手をかけた。優しい口調。羽のように軽い口調。だけど、つかさは、なぜだかぞくりとするものを感じた。今までの戦慄とは種類が違う、別種の戦慄だった。
「志貴、さん――」
 つかさは、もう止めて欲しいといおうとした。が、疲労しきった口はうまく回らず、胡乱な頭は言葉を紡ぐことができない。もどかしい。でも、こんなつかさを見れば、優しい志貴は、おそらく――
「どう? まだ、俺のがつかさちゃんの中に溢れてるかなあ」
 志貴は気付いてなかった。つかさの足を開かせると、つかさのオンナに顔を近づける。志貴の言葉どおり、そこからは志貴の放ったものが、だらだらと溢れ、零れ落ちている。つかさの蜜と混ざり合った卑猥な液体が、つかさの花びらを溺れさせていた。志貴は愛しげにつかさのオンナに口づけすると、自分の精にまみれた花びらを、丁寧に舐り始めた。
 つかさは、反射的に足を閉じようとしたが、まったく衰えを知らない志貴の腕力には、障害にすらならなかった。志貴の舌が、つかさのオンナを這い回る。つかさは小さく声を上げた。志貴が自分の状態に気づいてくれないもどかしさもあった。だが、こんなに疲れているはずなのに、つかさのオンナは愛撫に正直に反応し始めている。志貴の舌が雌芯を這い回る度に、泥人形のように投げ出されたつかさの四肢に、また熱いエネルギーが注ぎ込まれて来るのが分かるのだ。それはまるで、自分が肉の人形になったかのような、不気味な啓示を与えた。つかさが、もう志貴無しには生きて行けないのだと。それが真実にしても、ただ性的な関係だけで、つかさが振り回されるのは恐ろしかった。志貴には、もっと人らしく扱って欲しい。
「志貴さん――」
 その恐怖が、つかさに辛うじて声を上げさせていた。志貴は顔を上げると、それからつかさの目を見て、優しく答えた。
「大丈夫。つかさちゃんが気持ちよくなる部分はもう分かってるよ。だから、すぐ気持ちよくしてあげるよ」
 志貴はまたつかさのオンナに口づけすると、ゆっくりと愛撫し始めた。確かに志貴のいう通りだった。つかさのオンナは、また官能に潤い、滴り始めた。自分の身体の一部なのに、まるで別の生き物のように蠢き、志貴を迎え入れたいと声高に叫び始めた。官能が心を侵して行く。
「入れるよ」
 志貴はあくまでも優しく、つかさにささやきかけると、つかさの腰を抱え上げて、また正常位で挿入してきた。志貴のオトコがつかさのオンナをかき分け、器官へとまっすぐに打ち込まれてゆく。その充実感に捕らわれつつも、つかさの心は絶望に閉ざされようとしていた。
 そう、この人はとても優しい――
 つかさは、涙に歪む視界に、志貴の笑顔を捕らえながら、悟った。
 でもこの人は私を見てない。この人は私という女を見ているだけで、四条つかさという人間が見えてない――
 志貴の律動が早まって行く。オンナが潤い始め、卑猥な香りと音に満ち始める。つかさの子宮は志貴の精を貪欲に求め始めている。つかさは、今まで無視し続けてきたこれらの器官に、全てを支配されるのを感じながら、どこか堕ちて行く感覚をも味わっていた――

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